わたしは濃い眉毛は見たことがありますが、毛深い睫毛というものは今まで見た覚えがありません。美容的には長くてすこしカールした色の黒い十分な量の睫毛がきれいで魅力的に見えるのだと思います。だから世の女性は一生懸命睫毛の手入れをするのでしょう。
暗い廊下に落ちていた娘のつけ睫毛を虫かと思って飛びのいたことがあります。
その睫毛ですが、薬で増やして伸ばすことができるようになりました。
睫毛が不足しているか不十分な状態を睫毛貧毛症と呼びますが、どの程度が不足していて不十分なのかは主観的なものかもしれません。それでももっと長い睫毛をふやして目元を強調したいひともいることだと思います。
またいろいろな病気や抗がん剤など薬の副作用で睫毛が本当に少なくなってしまった状態でお困りのひともいるのかもしれません。
そのような人に吉報です。
他の国ではすでに承認されていた睫毛の貧毛治療薬が日本でも医薬品として1年前に承認されました。
もともと緑内障の点眼薬として開発されたところ副作用として睫毛が伸びたというところからこの薬ビマトプロストの開発が始まっています。
使い方は日に一度、点眼ではなく睫毛の基部にブラシで塗布して使います。4ヶ月程度の使用で約4割に効果が出てくるようです。
副作用として目の虹彩の色が濃くなることがあると報告されています。
見た目のアンチエイジングにはいい薬ですが、残念なことに保険扱いは無く自費になります。
勃起不全または勃起障害(erectile dysfunction:ED)とは性的満足が得られる性行為をおこなうのに十分な勃起の達成または維持ができない状態が持続していることを言います。
陰茎の勃起は性的刺激により陰茎海綿体の非アドレナリン非コリン作動性神経や血管内皮細胞から放出される一酸化窒素がサイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)を介して陰茎の海綿体平滑筋を弛緩させることで陰茎に多量の血液が流入することで起こります。
このcGMPはサイクリックヌクレオチド(ホスホジエステラーゼ、PDE)という酵素で加水分解されますが、この酵素を阻害するとcGMPは分解されずに濃度が維持され勃起反応が増強することが判明しました。
そうして開発されたのが選択的ホスホジエステラーゼタイプ5阻害薬(PDE5)、シルデナフィル 別名バイアグラです。
この薬は同様の機序で有機硝酸薬やNO供与薬の分解を妨げるので、このような薬を服用していた場合、血圧が低下し最悪死亡事故が起こることが報告されています。
硝酸薬とはニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ニプラジールなどで、NO供与薬にはニコランジル、ニトロプルシドなどがあります。狭心症などでよく使われる薬です。
このような薬を内服しているひとには、シルデナフィルは禁忌で服用は認められていません。安全に服用するにあたっては医師の指導が必要です。
また服用に際しては24時間以上の間隔をおくことが必要です。
性行為の1時間ほど前に服用します。空腹時に服用したほうが効果があります。
7月18日に関東地方は梅雨明けしました。
梅雨明け後の7月中旬から8月上旬にかけての時期が熱中症のピークと言われています。
気温の上がる午後の12時から15時ころが危険です。
熱中症の診断は、暑熱環境に居る、あるいは居た後の症状として、めまい、失神(立ちくらみ)、生あくび、大量の発汗、強い口渇感、筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)、頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、意識障害、痙攣、せん妄、小脳失調、高体温などを発症し他にこれら症状を起こすような病気が考えられない場合に診断されます。
熱中症は男性に多く若い男性では運動、中年以降の男性では労働に伴う発生が多いようです。運動では2時間を超えるような場合に発生が多かったことがアメリカの研究で報告されています。この時期、部活動などで練習のある若者も多いことかもしれませんが、長時間の練習はせず、短時間で切り上げることが大切だと思います。指導者の方にはぜひ意識していただきたいと思います。
労働に伴う熱中症は当然、屋外での仕事が危険で高温多湿な場所、飲水できないことが重症化につながります。体温を上げない準備(体の冷却)や十分な飲水を行いましょう。
高齢者では運動や労働とは無関係に屋内でも熱中症の発生頻度が増えています。
屋内での熱中症は高齢の独居女性に多く、高血圧や認知症など他に病気のある人ほど重症化しやすいようです。エアコンの未使用や非設置の場合、当然ですが高齢者では重症化するようです。
対策は体温を上げないこと。
暑ければ冷やすこと。クーラー 扇風機 水風呂 シャワー何でもいいので体温を平熱以上に上げないことです。認知症のひとは真夏でも冬服を着ていることが多々あります。回りの人が注してあげねばなりません。
もし熱中症で体温が上がってしまったら平熱になるよう一生懸命に冷やしてください。
重症で救急車を呼ぶ場合にもその間をつかって水をかけるなり保冷剤を使うなり体温を下げることが大切です。その際 動脈の拍動をふれる部位を冷やすと効果的です。
また水分と電解質の補充が大切です。暑いときは、真水ではなく電解質 塩気のあるものを飲む習慣をつけましょう。必ずしもスポーツドリンクでなくてもかまいません。
昆布茶でもいいです。飲むことが大切です。
「ひとは血管から老いる」というウイリアム オスラー先生の有名な言葉がありますが、内皮細胞の障害とともに人は老化するのです。
血管内皮細胞を直接障害するものとして、酸化ストレスや、アミノ酸の一種であるホモシステインという物質があります。ホモシステインはビタミンの摂取が悪いと血中に増え、血管を傷害し動脈硬化を悪化させることがわかっています。
動脈硬化の予防、治療のためには酸化ストレス、ホモシステインを減らすことがとても重要です。
1997年、血管内皮細胞になるもとの細胞(血管内皮前駆細胞)に血管を新たに再生する能力があることが報告されました。この細胞は骨髄のなかに多くありますが体の中を循環している血液中にも少数ながら存在しています。
この細胞を特殊な方法で採って血の流れの悪い場所の筋肉に注射してやると新たな血管が再生し血の流れが足りない症状が改善されます。
この治療法を血管再生治療といいますが、薬剤の効果が無く手術も行うことができない閉塞性動脈疾患(バージャー病、閉塞性動脈硬化症)の患者さんに対して有効な治療法です。移植する細胞は患者さん自身のものであるため、拒絶反応はなく安全な治療法と考えられます。多くの患者さんで虚血による疼痛の軽快、消失が認められ、大量に服薬していた鎮痛剤が不要になった、安眠できるようになったため睡眠薬が不要になった、難治性の潰瘍や傷が治り手足の切断を免れたといった効果が認められています。また痛い足でも長く歩けるようになります。
ただこの治療は残念ながらまだ限られた施設でしか受けることができません。
わたしは神奈川県立循環器呼吸器病センターに勤務していたときに、神奈川県で初めて厚生労働省より血管再生治療を先進医療として認可していただき、多くの再生医療を経験しました。バージャー病、閉塞性動脈硬化症でお困りのかたはご相談ください。
薬や手術で治療できないような動脈の病気に対して、再生医療という新たな方法で治療できる時代になりました。
しかし血管専門医のアドバイスにしたがった病気の予防にまさるものはありません。
動脈の健康を維持することで、脳の血管、心臓、大動脈などの病気を予防でき、その結果寿命が延びるだけでなくひとからの介護を必要としない自立した明るい人生を送れることにつながります。
過去100年の間に現代医学すなわち西洋医学は急激な発展をとげました。
なかでも抗生物質の登場による感染症の治療や外科手術の進歩により今まで助けることのできなかった多くの命を救い、現代医学の恩恵を患者さんに与えてきました。
しかし現代医学をもってしても根治できない病気は多くあり、さらに最近になり抗生物質に対する耐性菌の出現や生活習慣病の増加、抗ガン剤をはじめ薬の副作用の問題など多くの高い壁がわたしたちの前に立ちはだかり現代医学は行き詰っているのが現状です。
現在の医療は対症療法の域をでないものが多く完全な治癒が得られないため治療をやめられることはほとんどありません。いちど病気になるとずっと高額な薬をのみ続けることになります。その結果どの国の医療経済も限界に達しています。
こうしたなか1990年代になり、アメリカでは現代医療(Conventional Medicine)の限界を補う補完医療(Complimentary Medicine)、これまでの医療にかわる代替医療(Alternative Medicine)という新しい医療を求める動きが始まり、ひとつの大きな流れとして世界に広まりつつあります。健康は他人から与えられるものではなく自 分で勝ち取るものだということを強く意識したひとたちが担っています。
これらの医療の中心は栄養を十分に考えた食事、サプリメントからの足りない栄養分の積極的な補完、適切な運動やピラティス、カイロプラクティック、アロマテラピーなど世界各地に伝わってきた民間療法の知識を科学的に発展させ応用したものです。
本来私たちがもつ自然の力を最大限に発揮させるために、免疫力や活力を高め、有害物質をからだから排出させ、化学薬品などに頼らず病気の発 病を食い止め、健康を維持しつづけ老化さえも遅らせよう(アンチエイジング)というものです。いまはやりのプラセンタ(胎盤成分)をすでに楊貴妃も使って いたといわれています。
自然の力を最大限に利用することで化学薬品に頼ることが減り、重大な副作用は少なくなると考えられています。またこの治療の利点は病気の治療だけでなく、病気の予防も可能になると考えられている点でしょう。
これからの時代は現代医学すなわち西洋医学一辺倒ではなく、補完医療、代替医療の長所を積極的に取り入れた統合医療(Integrative Medicine)を行うことの重要性に皆、気づき始めています。この流れはだんだんと大きくなり全世界的な潮流になることでしょう。
日本においては明治維新の富国強兵政策にともない、江戸時代前から培われてきた漢方医学が明治政府により打ち捨てられ西洋医学が中心に行われてきました。
明治以後の日本の医者はせっかくの伝統医療を学ぶ機会さえ奪われ、今にいたっています。医学部では漢方や予防医学の正式な講義はありませんでした。
しかし最近になりこうした医療のありかたが大きく変わり始めました。
唐の時代の名医が書いた「千金要方」の序文に、「上医は未だ病まざるの病を医し、中医は病まんと欲するの病を医し、下医はすでに病むところの病を医す」とあります。
古来より未病を治すことが、東洋医学の理想とされてきました。こういった捉え方は大昔から東洋医学の理想で明治までの医師にとり常識だったことです。
東洋医学では、わたしたちの生命力や抵抗力を正気といい、タバコ、食べすぎなどひとに病気をもたらすものを邪といいます。風、寒さ、熱など自然現象も邪になります。
この正気と邪のバランスで病気になるか健康体でいられるかが決まります。
病気を予防するためには、将来邪になるかもしれないものに対してしっかり対策を講じ、自分の正気を強くする必要があります。
統合医療は、まさに我々の伝統にそって正気を強めて不老不死を願い健康体をめざす仙人の修行に通じるものです。
西洋医学の力を利用しつつ、東洋医学の理想を追い求めること、それが21世紀の医療の方向性になるとわたしは思います。
日本人の死因はガンを除くと脳血管疾患と心臓疾患が多く動脈の病気と深くかかわっています。動脈のケアがとても大切なのです。
動脈を輪切りにするとバームクーヘンのように3層の構造になっています。
血液が流れる内腔の方から内膜、中膜、外膜という壁があり、つねに血流にさらされている内膜表面には内皮細胞という薄い細胞があります。この細胞がとても重要で、障害をうけて細胞がなくなると血管の構造が壊れ、人は病気になります。
内皮細胞の主な機能を説明しましょう。
怪我をして出血しても、時間がたつと血が固まり止血することはみなさん自分の体で経験しているはずです。もし血管のなかで血が固まってしまったらどうなるでしょうか。体中の血管がつまって血液が流れなくなり、つまった血管に栄養されていた組織や臓器には血が流れなくなり腐ってしまいます。脳の血管がつまれば脳細胞が障害され脳梗塞になって麻痺がでたり、意識障害をおこしたり死んでしまうことがあるかもしれません。血液が血管のなかで固まらずにさらさらと流れることが重要なわけです。内皮細胞はそのために大きな役割を果たしています。血が固まらなくなる成分を分泌してたえず血液がさらさらと流れるようにしているわけです。
血液のなかには血球などの血液成分の他に糖や脂肪などの栄養分や代謝産物、酸素、二酸化炭素などいろいろなものが混ざり血管のなかをたえず流れています。これらが血管の壁から体の中にかってに染み込んでしまうと、人体はめちゃくちゃなことになってしまいます。必要な栄養は必要なところへ送られ、いらなくなったきたない産物はちゃんと排出されるようになっているわけです。内皮細胞がバリアーとなってこれらの血液成分がかってに血管壁を通り抜けないように調節しています。内皮細胞がなくなると、そこに血栓という血のかたまりが付着したりコレステロールやカルシウムが沈着したりします。
血管の中膜には平滑筋細胞という平べったい細胞があり、この細胞が収縮すると血管が収縮し、弛緩すると血管が拡張して血液の流れる量を調節して体温を調節したり体の血圧を上げたり下げたりしています。
内皮細胞はこの平滑筋の収縮・弛緩を調節したり血管内で平滑筋細胞の数が増えすぎないようにしたり調節しています。
動脈硬化という言葉をよく聞きますが、皆さんはどのような状態を想像するでしょうか。
わたしは血管を直接、見たり触ったりできる心臓血管外科医になり、病気の動脈の汚さには驚きました。健康な動脈の内面は平滑で白く光ってとてもきれいな色をしています。しかし病気の血管はコレステロールがついて、黄ばんだ色になり、さわるといたるところが硬く、でこぼこして血管のなかには血栓という血液の古くなった固まりや粥状物といわれるきたないヘドロのような油粕がたまっています。よくこんなものが血管の中にあってわれわれは生きていられるものだと感心します。
健康な動脈には弾力性があります。しかし内皮細胞が障害されなくなってしまうと、血管の内面にコレステロールや血の固まりなどが沈着して内腔が狭くなり血管の壁のなかにもコレステロールやカルシウムが入り込み、壁の構造をこわします。
また血管の細胞が増殖して壁が厚くなり徐々に弾力性を失い硬くなってしまいます。カルシウムがつくことで、まるで骨のようにかたくなってしまうこともよくあります。このような人では、X線写真をとると、本来は骨しか白く写らないのに、血管が骨のように白く写ります。こういった血管の変化を総称して動脈硬化症といいます。
動脈硬化症をおこした血管の機能は低下し、血液が血管のなかで固まって血管がつまる、血管が血圧を調節できずに高血圧になる、血管が狭くなり血液が流れなくなる、血管の壁が弱くなり血圧に耐え切れなくなると焼餅のように膨らんで動脈瘤となります。
動脈瘤が破裂したり裂けたり(解離ともいいます)すると命を落とすことになります。
皆さんはホメオスターシスということばをご存知でしょうか。からだを健康な状態にたもつ恒常性を意味することばですが、このホメオスターシスのために、すなわち皆さんが現在の健康を維持するためには全長10万kmといわれる全身の血管をくまなく血液が流れることが必要です。動脈を健康に保ち、すべての臓器、組織に血液をきちんと流すことが非常に大切なわけです。血管の機能を保つことによってからだは常に新陳代謝がうまくいき若さを保つことができるのです。
院長名 | イチカワ ユキオ 市川由紀夫 |
---|---|
医療機関名 | イリョウホウジン 医療法人 ヨコハマグリーンクリニック 横浜グリーンクリニック |
郵便番号 | 〒234-0054 |
所在地 | 神奈川県横浜市港南区港南台4-22-9 パークハウス港南台1F |
電話番号 | 045-830-6801 |
FAX番号 | 045-830-6802 |
お電話またはお問い合わせページより承っております。